「閃めく経絡」を読み始めて、プロローグ〜人体はなぜ再生しないのか

「閃めく経絡」(医道の日本社)というイギリス人の西洋医学の医師が書いた本を読み始めました。

その本のプロローグにまず、懐かしさを覚えたのですが、「なぜ人体は再生しないのか」というタイトル。その中で例を出して「人は再生することができる」ということを述べているのですが、その条件として①指の末端だけ②そして強い気を持っている子供だけと。まだこの事実は医学界でもあまり知られていないと著者は述べるのですが、それは認識不足。

もう20年ぐらい前になりますが、整形外科の専門病院で仕事をしていた時(整形外科、形成外科、内科医として)に、ある論文を先輩医師に紹介してもらい、指の末端(末節部です)の切断患者を治療したことがあります。通常の治療であれば、その切断端を綺麗に縫い合わせて、まとめるか(その場合指の長さは短くなります)、あるいは欠損部に皮膚移植をするか、あるいは形成外科であれば、他の部位の組織を指の末端に移植して指をまとめるか。それぞれあまり格好の良い指にはなりません。

その論文を参考に何人かの人に同意を得て(本人が麻酔の注射さえも嫌がったため)、指の末端部の切断の処置をしたことがあります。まず①切断端部は生理食塩水で洗浄し②滅菌したアルミホイルでその切断した指を包み③その内部にイソジンゲルというイソジンをゲル状にした軟膏を充填、④その状態をしばらく保つようにします。毎日の処置は必要なく時々外来に来てもらいチェックするのです。アルミホイルで包まれた指はふやけて白くなっているのですが、日ごとに指の肉が生えてきて、肉がほぼ形を成す頃に皮膚が再生し始め、最終的には指紋や爪も復活して指が元の形に戻りました。経験した症例は皆30代、40代ですべて大人でした。子供に限ったことではありません。一人は海外の人で、どうしてこのような治療を世に発表しないのかと感動されていました(すでに発表されていますと説明しました)。少し時間がかかるのが欠点ですが、手術など大げさなことをせず指が再生したのです。

その時私がすごいと思ったのは、治療自体ではなく人間の体の治癒力の可能性の大きさでした。その治癒力を最大限に引き出す最適な条件を私たちがまだ知らないだけではないかと。

でも考えてみれば、体の中では、日々様々な細胞が壊れては再生を繰り返し、脳や神経以外はほぼ全て数ヶ月で入れ替わってしまっているのです。死ぬまでその再生は繰り返されています。その再生ができなくなった時が死を迎える時でもあります。

医師 平田 修


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