最近治療させていただいた顔面神経麻痺の症例をご紹介させていただきます。
この患者様は、顔面神経麻痺を発症してすぐに病院の耳鼻科を受診され、ステロイドや抗ウイルス剤などの薬が処方されました。
しかし、薬を飲んでも症状は悪化する一方で、不安に思われてすぐに当院に相談していただきました。
顔面神経麻痺を発症する直前、首がつったような感覚になり耳の後ろ(顔面神経が頭蓋骨から出るところにあたります)にも痛みがあったそうです。
顔面神経麻痺も他の病気と同様、ストレスや疲労が溜まっているときに発症しやすいため、顔面の局所治療に加え身体全体の体調を整える治療もおこないました。
顔面のツボは経絡(気血の通る道)で全身につながっていますので、局所治療といえども全身治療にもつながります。
ただ、顔面のツボだけを使用するのではなく全身のツボを組み合わせることで、気血がより巡りやすくなり身体全体を元気にしていきます。
治療経過としては、
1回目の治療後、首・肩・耳の後ろの痛みがなくなりました。
2回目の治療後に目元から少しずつ変化があらわれはじめ、瞬きをするとき両目でできるようになりました。
5回目の治療後は口元にも変化があらわれ、口をすぼめることが少しできるようになり、
6回目の治療後は顔全体に力がはいるようになりほぼ発症前の状態になりました。
その状態をより安定させるために追加であと2回受けていただき、治療を終了としました。
今回は、はじめの6日間は毎日通っていただき、治療回数としては8回、治療期間としては約2週間と比較的短期間で改善できた症例でした。
大事な面接を控えて精神的にも不安が大きかったため、本番前に改善できてとても喜んでいただきました。
鍼灸治療は、症状の程度によっても個人差はありますが、可能ならば初めの5〜10日間は毎日受けていただくことをおすすめしております。(それが難しかったら最低3日間)
この期間に治療の最初の土台を作るイメージです。
治療回数を重ねるごとに身体の気、血などの巡り方がよくなり、身体の反応が敏感になっていきます。
身体全体が目覚め始める感じです。
その後は様子を見ながら治療の間隔をあけていきます。
個々のライフスタイルによっても集中治療できない場合もございますが、初めはできるだけ間隔を空けずに治療を重ねた方が、治療期間も短く済む場合が多いようです。
よろしければ先日アップしました「突発性難聴と顔面神経麻痺」も一緒にご覧ください。
鍼灸師 平田 葵