食欲がなくなる時

体調が悪くなると食欲がおちることがあります。

東洋医学的には、病魔が内部に入り込んだ状態で体力的にはかなり弱った状態と判断します。

風邪をひいて熱があったりする時に、食欲がわかない時があります。たいていの人はこんな時だから、無理にでも食事をしないと病気が良くならないと、一生懸命食事をしてしまいます。それでムカついたり、下痢をしたり。

実は体力があって元気だから食欲があるわけで、食べるから元気なわけではありません(卵が先か鶏が先か的な話ですが)。

食べ物の消化、吸収にはかなりのエネルギーが必要です。エネルギーを得るために食べるわけですが、食べたものが生み出すエネルギーのかなりの部分が栄養の分解と吸収と同化に費やされます。最近消化管系には免疫系の60%が存在するとわかってきました。食べた食物は体にとっては異物ですから、はじめに働く免疫細胞がその異物を自身が食べることにより、体にとって必要なものか、異物かを選り分けて、次の役割の他の免疫細胞にその情報を伝えていきます。免疫細胞には栄養の分解の役割もあるのです。

体が弱って食欲が落ちている時に無理に食事をすると、免疫を司っている免疫細胞が食事の処理に追われることになり、その仕事にエネルギーが奪われ、悪玉のウィルスや細菌と戦う力の一部が消耗させられてしまうのです。

もともと体力のある人は、数日食べないくらいはなんてことありません。水分さえ取れていればたいていは大丈夫です。体力のない人は、免疫系も弱っていることが多く、無理に食事をしてしまうと、栄養の吸収もうまくできませんし、さらに免疫を落としてしまうことになります(点滴などは通常はあまり必要ないものですが、体力の落ちた時の食欲低下には、力を発揮します。しかし相当に体の力が落ちた時には、点滴も負担になることもあります)。

食欲が落ちるのは、消化管に問題があることもありますが、消化管に大きな問題がなくても、体力を温存し十分なエネルギーを免疫系に注ぐための身体の適応現象だったりします。そのような時は、むりをせず、水分を取りながら(食べるとしても、消化の良いもの、お粥や、よく煮たうどんなど)ゆっくりと休むことが必要です。余分な体力を使わないように安静にしていると、免疫系も含め身体全体が最大限の力を発揮して、病気の状態からの回復を促してくれます。

身体のだるさ、吐き気、下痢、便秘、鼻水、鼻づまり、痛み、熱、めまい、しびれ、頭痛、皮膚の発疹、かゆみなどなど身体の症状は、検査で捉えきれない場合も、身体のなんらかの訴えだったり、必要があっておこっていることばかりです。その異常な感覚をどう捉えるかで病気に対する考え方がまるで変わってきます。西洋医学はひたすらそのような症状を異常な症状、不快な症状ととらえ抑えることばかりを考え、その方法が発達してきました。薬もその一つです。

身体に対する考え方は、西洋医学的なものばかりが優勢になって、かなりいびつなものになってしまっています。ますますクスリが発達し、それで病気がすべて治るかのような錯覚を抱かせる。それはなんだか変だと思う感覚をお持ちの方は、平衡感覚を失っていない方々だと思います。日常で感じる違和感は、身体的なことに限らず心の問題含め、大変重要な感覚です。不快だからとすぐに捨て去ろうとしないで、その感覚を味わいながら、その違和感の発生するもととなった原因をじっくりと見直してみてください。いろいろな答えがそこから見いだせることを、ぜひ経験していただきたいと思います。

食欲の低下に関する少し違った見方の紹介でした。

 

 

医療相談・健康相談担当

医師  平田 修